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バイヤー日暮日記

2022.05.13

いちごづくしな、いちご旅。@三軒茶屋〜宮城県山元町

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バイヤー日暮日記

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こんにちは!日本百貨店バイヤーのヒグラシです。
仕事柄全国いろんなところに行くことが多いのですが、巷では「アイツただフラフラしてるだけなんじゃないのか」という声も…
そんな疑惑を払拭すべく、このコラムでは行く先々で出会った素晴らしい作り手さんやものづくりの裏側なんかをゆるりと紹介しつつ、ちゃんと仕事している感を演出したいと思います!

いちごが美味しい季節ですね!

前回のコラムで少し触れましたが、最近お試しオーガニック生活を始めまして。有機のベビーリーフに天日塩と上質なオリーブオイルをかけて食す。という意識の高い食生活をしていたのですが、早速飽きてきまして。人間というのはバランスを取ろうとするんですかね、朝はオーガニック野菜のサラダ、夜は家系ラーメンといった具合に振れ幅の大きい食生活になりつつある今日のこの頃です。

さて…ついこの前、年が明けたと思っていたらもうすっかり春ですね。いちごが美味しい季節ですね♪いちごといえばウチの近所に「ICHIBIKO(いちびこ)」といういちごスイーツ専門店がありまして。テレビや雑誌でよく取り上げられたり、最近では大手コンビニとコラボしたりと話題のお店で、休日ともなると店の前には女性のお客さんたちが列を作る超人気店です。

1号店の太子堂店

日本百貨店もお取引があり、人気商品の「いちごミルクのもと」や日本百貨店限定のマフィンを作ってもらったりと色々とお世話になっています。個人的にも代表の竹本さんはじめスタッフの方には仲良くしてもらっていて、よく打合せと称しては美味しいショートケーキを食べに行ってるのはここだけの話です。

代表の竹本さん(右) 先日はボロボロのママチャリで行ってお店の雰囲気を壊してすいませんでした…

いちごスイーツ専門店というだけあって、いちびこさんのケーキはいちごが美味しいんですよね。それもそのはず、いちびこを手掛けているのは宮城県のブランドいちご「ミガキイチゴ」を栽培している農業生産法人GRA。つまりいちご農家がプロデュースしているお店なので、いちごが美味しくない訳ありません!

市販のいちごは基本的にJAを通して出荷されるものが多いのですが、収穫から販売までに何日もかかってしまうため完熟前に獲るのが一般的なんです。その点、いちびこさんで使用するいちごは、農場で摘んだものを直送するので収穫した次の日にはお店に到着。鮮度が良い完熟いちごをスイーツに使うことができるんです。だから美味しい!

いちごの断面が美しいショートケーキは絶品!

今回お邪魔すると名物のショートケーキを仕込んでいたので見せてもらいました。ミガキイチゴをこれでもかと贅沢に使用しています。

見てくださいこのいちごの数…なんて贅沢な…

さらにこの日は、日本百貨店オリジナルのマフィン(一部店舗のみ取扱い)も焼いてもらいました。カットいちごをふんだんに使って焼きあげたマフィンは、いちごの果肉たっぷりで満足感あり!手作りなのでたくさんは作れませんが、入荷すると毎回売り切れる人気商品です。無理を言っていちごをたくさん入れてもらっているので焼き上げるのが難しいそうです。すいません…

いちごの果肉がゴロゴロ入っていて美味しいんです♪

さて、今回いちびこさんで取材していたところ竹本さんから、「ぜひ!宮城にあるいちご農園も見に来て!」と嬉しいお言葉をいただいたので、早速宮城県は山元町にあるGRAさんのミガキイチゴ農園に行ってきましたっ!

「IT×農家の勘」で生み出すいちご

ちなみに、ミガキイチゴとはそういう品種があるわけでなく、様々な品種のいちごの中で甘さ・大きさ・品質など、とても厳しい基準をクリアしたものだけが「ミガキイチゴ 」と呼ぶことができるんです。高いものだと1粒1,000円!という超プレミアムないちごです。

立派なハウスですね〜

最大の特徴はITを駆使した栽培方法。熟練のいちご農家の経験や技をデータ化することで高品質のいちごを安定して栽培できる仕組み。なんともハイテクですね!

というのもGRA代表の岩佐さんは元々IT企業を経営していた方。2011年の東日本大震災で故郷の宮城県山元町は被災、町のシンボルだったいちご農家の90%以上は流されてしまい…。その惨状を見て、地元の名物のいちごを復活させるべく立ち上げた会社なんです。

温度や湿度はもちろん、養分や水分の量、さらには根っこの温度までコントロールしたり、ハウス内で二酸化炭素を焚いて光合成を促進させたりと、いちごにとって最適な環境を作り上げているんです。すごい…なんかもう未来ですね!(語彙力…)

ヘタの部分まで赤いのは完熟している証拠

ITを駆使した栽培と聞くと、何か人工的で無機質な農園を想像しませんか?
かく言うヒグラシもてっきり白衣を着た博士風の人たちがモニターと睨めっこしながら、コンビューターやメカでああしたりこうしたりしている農園をイメージしていました。

実際見てみると当然人の手がかかっていて、毎日いちごの状態を確認する陽気なインド人スタッフのお兄さんがいたり、超速で収穫する熟練のお母さんたちがいたり、ハウスには受粉のための蜂が飛んでいたり、とても愉快で温もりのある農場でした。

副社長の橋元さん(左)と農場管理のシンさん(右)
ハウス内ではミツバチによる受粉が行われている

印象的だったのは、どんなにデータ化してマニュアルを作っても最後は人の勘に頼る部分が残っているということ。もっと美味しいいちごになるよう皆でマニュアルの先を創意工夫しているそうです。IT×農家の勘の相乗効果。テクノロジーと人間が上手い具合に競い合って良いものを作ろうとする姿にこれからの農業の在り方を見たような気がします。そんなことを思いながら帰路につきました。

恒例の集合写真

ちなみにこの日は3月に起きた地震の影響で新幹線が不通だったため、農場へは竹本さん、いちびこのパティシエ佐藤さん、ヒグラシの男3人で仲良くドライブ(往復8時間!)したのですが、車内で色々と話が盛り上がりまして。急遽イベントを実施することになりました!その名も…

バイヤー直送!「生いちごミルクのもと」販売会!

どういうことか説明しますと…
私ヒグラシが早朝に宮城の農場でミガキイチゴを摘みまして、その足で東京のいちびこさんに持っていきその場でいちごミルクのもとを作ってもらいます。さらにその足で日本百貨店に移動して販売しちゃおう、という何とも無茶な企画です。

朝獲った完熟ミガキイチゴがその日のうちに「いちごミルクのもと」になって店頭に並ぶなんて凄くないですか!?いちごは鮮度が命なので、収穫してすぐ加工したいちごミルクのもとは絶対に美味しいはず。

数量限定販売ですがすぐ売れちゃうな~。これ、バイヤーの勘!(むかし名取裕子さんのミステリードラマでこんな感じの決め台詞ありましたよね)詳細はHPやSNSで紹介しますので楽しみにしてください!ではまた今度~♪

今回のバイヤー一押し!

(ICHIBIKO)いちごミルクのもと ¥1360

いちびこ人気メニューの「いちびこミルク」を商品化。いちごミルクが手軽で簡単に楽しめる、ありそうでなかった濃縮タイプのいちごミルクのもとです。カットいちごがゴロゴロ入っていていちご好きにはたまりません!

文文

日暮 学日本百貨店バイヤー

大型店「日本百貨店しょくひんかん」の立上げや、旗艦店となる「日本百貨店にほんばし總本店」をはじめ各店のMDを監修。売場に合わせた商品仕入やオリジナル商品の開発を行う。ニッポン各地の「スグレモノ」を発掘するため全国を飛び回る日々。

日本百貨店バイヤー日暮学が出会った日本の“いろいろ”や、ものづくりの裏側、作り手のこだわりなどをピックアップ!ニッポンのスグレモノを見つけるべく全国各地を奔走するバイヤーの日々の日記です。

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