こんにちは!日本百貨店バイヤーのヒグラシです。
仕事柄全国いろんなところに行くことが多いのですが、巷では「アイツただフラフラしてるだけなんじゃないのか」という声も…
そんな疑惑を払拭すべく、このコラムでは行く先々で出会った素晴らしい作り手さんやものづくりの裏側なんかをゆるりと紹介しつつ、ちゃんと仕事している感を演出したいと思います!
いま、缶詰がアツイ!ということで…
最近缶詰が流行ってますよね。コンビニやスーパーなんかにも何十種類と揃っていて、とにかくそのバリエーションに驚きます。
僕自身も割と好きで、夜遅く帰ってきて料理するのが面倒くさいときとかレトルト食品代わりに缶詰をパパッとおかずにしちゃいます。
缶詰って一昔前は非常食とか保存食のイメージが先行して味はそれほど…という印象がありましたが、今の缶詰はレベルがとても高くて味も本当に美味しいんですよね。
秋葉原にある日本百貨店しょくひんかんには、日本一の品揃えを誇る「カンダフル」という缶詰売場がありまして、全国から集めた缶詰がなんと約350種類!ずらっと並んでいます。昨今の缶詰ブームも相俟って連日大盛況。缶詰メーカーも各社しのぎを削っています。
ということで、今回はそんな群雄割拠の缶詰業界でトップレベルのクオリティを誇る高木商店さんをピックアップ!
日本百貨店の創業当時から付き合いのあるメーカーですが、意外にも工場に行ったことがなかったので、美味しさの秘密を探るべく製造現場にお邪魔しました〜。
工場があるのは日本でも有数の水揚げ量を誇る千葉県銚子港と茨城県波崎港のすぐ近く。どちらの港からもアクセス抜群で、港で水揚げされた新鮮な魚をすぐ工場へ運んで加工することが出来ちゃうナイスな立地です。
こだわりの原料選び!光る目利きのセンス!
高木商店が特にこだわっているのは原料の仕入れ。
サバ缶やイワシの缶詰って基本的に魚と調味料だけのシンプルな配合で作るものだから、原料の良し悪しが美味しさを大きく左右するんです。
そのため原料の買付けは必ず社長や専務が直接足を運び、自ら目利きする気合の入れよう。長年の経験にもとづき、脂の乗りや鮮度、内臓の状態、漁場などしっかり見極めていく様は、缶詰製造60年の高木商店プライドを感じます!
ちょうどこの日は銚子港でイワシの水揚げがあり、これから仕入れに行くとのことなのでついていくことに。車に乗ること10分程で到着。本当に、港が近い!!
「おーやってるねー!」なんてそれっぽいこと言いながら見学するインドア派の僕を尻目に海のオトコ達が黙々と作業しています。
この日は旬のイワシが大量に水揚げされた模様。この時期獲れるものは「入梅イワシ」呼ばれ、読んで字の如く「入梅(にゅうばい)」、つまり6〜7月の梅雨入り時期に獲れるマイワシのこと。この時期のイワシは産卵前で、1年で一番脂が乗っていて美味しいんですよね。そんなイワシが缶詰になるのだから美味しくないはずがありません!!
フレッシュパックで鮮度がいい!
こだわっているのは原料の買付けだけではありません。
商品によってはなんと仕入れた魚を当日中に缶詰にしてしまうんです!「フレッシュパック」と呼ばれるこの製法は、原料を冷凍せず生のまま使用するので当然鮮度は抜群。つまり今朝獲ったイワシが午後には缶詰になっちゃうのです!なんということでしょう…
そして専務もいい!
韻を踏みたい訳ではなくて本当にそう思ってるんです。
この日は専務の高木さんも同行したのですが、この高木専務がとても良いのです。目利きする様子は真剣そのものですが、普段は寡黙で照れ屋で実直さがにじみ出ているというか。
新商品の案内だったりちょっとした仕様変更だったり…今だったらメールひとつで済ませることが多い伝達事項なのですが、高木専務は忙しいなかわざわざ東京の事務所まで会いに来てくれるんです。こんな人間味あふれる素敵な人が作るんだから美味しい缶詰ができるだろうな〜と改めて思わせてくれます。
人が作るものってやっぱり作り手の人柄が出るもので、いい商品は良い人が作っていることが多いです。僕達が作り手に会うのもきっとその理由からで、今のご時世顔を合わせなくても取引自体はいくらでも出来る時代ですが、直接会って話をして「この人と商売したい!」「この人の作ったモノを売りたい!」と思うことって大事だなって改めて思うのでした。
そんな「目利きのセンス!原料の鮮度!高木の専務!」の3拍子揃った高木商店の缶詰は日本百貨店のオンラインショップでも購入出来ますので、ぜひお試しください〜。
オリジナル缶詰を開発中!
さて、今回高木商店にお邪魔したのにはもう一つ理由がありまして、実はいまオリジナルのサバ缶を開発中なんです!しかも日本百貨店だけでなく、こだわりのスーパー信濃屋さんや大野屋さん、自然食品のお店F&Fさん、食と文化を伝えるこしき屋さんとの共同開発なんです!!
ライバルである小売企業がタッグを組むのは異例中の異例なのですが、バイヤー同士が仲の良いこともあり、垣根を超えて共同で商品開発しています。
せっかく作るならフツーのサバ缶じゃツマラナイということで、日本の伝統的な食文化である「木桶」をテーマに木桶醤油と木桶のお酢を使っています。ただいま絶賛開発中で、かなり美味しく仕上がってます!楽しみ♪♪
おいおい、そのサバ缶の話が気になるじゃないか、ヒグラシ!という声が聞こえてきそうですが、その辺りはまた後日詳しく触れたいと思います〜。ではまた今度!!
今回のバイヤー一押し!
日暮 学日本百貨店バイヤー
大型店「日本百貨店しょくひんかん」の立上げや、旗艦店となる「日本百貨店にほんばし總本店」をはじめ各店のMDを監修。売場に合わせた商品仕入やオリジナル商品の開発を行う。ニッポン各地の「スグレモノ」を発掘するため全国を飛び回る日々。
Instagram:@highig_22
日本百貨店バイヤー日暮学が出会った日本の“いろいろ”や、ものづくりの裏側、作り手のこだわりなどをピックアップ!ニッポンのスグレモノを見つけるべく全国各地を奔走するバイヤーの日々の日記です。