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ヒャッカのある暮らし

2022.04.12

訳ありでも、はみ出しものでも/もののけアーティスト 谷村紀明さん

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ヒャッカのある暮らし

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もののけアーティストが日本百貨店でお買い物するとしたら?もののけや妖怪を表現としたアートを生み出す谷村紀明さんに、ユニークな人生観や気になるヒャッカについて教えてもらいました。

谷村紀明

クリエイティブディレクターとしてブランディング、コンセプト開発、コミュニケーションデザインなどを手がける一方、もののけアーティストとしても活躍。代表作に『てんぷら妖怪 カプセルトイ』『ウルトラマン55周年記念 ウルトラ怪獣もののけ絵巻展』など。

もののけアーティストの人生観

もののけアーティストという唯一無二の肩書で、もののけや妖怪をテーマにアート作品を手がけている谷村紀明さん。お会いするなり、最近ゲットしたARで遊べるカードゲームを披露してくれて、子ども心そのまま大人になったようなチャーミングさを感じます。

お寺や神社が多い京都で生まれ育った谷村さんは、小さな頃から狛犬や龍などのデザインフォルムが好きで、よく絵に描いていたそう。それぞれから発せられるメッセージを感じるうちに、どんどん魅力に取り憑かれ、今の活動へとつながっていきました。

ウルトラ怪獣もののけ絵巻

「地球上に存在する“もの”に宿るエネルギーを咀嚼し、楽しく表現するのがもののけアーティストです。たとえばウルトラ怪獣を泥で描いた絵巻で表現したり、てんぷらに扮した妖怪のカプセルトイを作ったり。もののけは漢字だと“物の怪”。僕にとっては妖怪やお化けに限らず、自然や食べものなど世の中にあるすべてのものがもののけなんです」

たとえば料理の見た目からインスピレーションを得て、アイデアをふくらませることも多いのだとか。

「ある日、天ぷらを食べていた時、妖怪に見えたんです。おばけはをきぬかぶって化けますよね。天ぷらもをころもつけて揚げたら化けるやん!ってつながって。おどろおどろしいイメージの妖怪を天ぷらとかけあわせることで、ポップな『てんぷら妖怪』が生まれました」

本物の天ぷらに見えるよう試行錯誤を重ねたという

遊び心をもって視点を変えることで、新たな付加価値を生み出すのが谷村さん流。中でも大切にしているのは“陰”に光をあてること。

「子どもの頃、カプセルトイの空カプセルをめがねにして遊んでました。ゴミと呼ばれるものも視点を変えればおもちゃになる。多分、自分を重ね合わせているんやと思います。僕、家事とかできないし、学校の成績悪かったけど、クリエイティブでは役に立てている。はみ出しものでも、別の形で表現すれば活かせるんじゃないかって」

“じゃないほう”をあえて楽しむ

今回、谷村さんが日本百貨店で選んだヒャッカには共通点があります。それは本来捨てられてしまうもの。メインの影に隠れてしまう“じゃないほう”の魅力を見抜き、ユニークな切り口で商品化された逸品です。

いか飯に使えないいかを煮込んだ『いか飯になれなかったいか』、手延べそうめんの余りである“ふし”を生かした『ふしめん』、昔は捨てていたホルモンを活用した『ホルモン揚げせんじ肉』。

「たとえばふしがなければそうめん自体作れないわけだから、めっちゃ重要。捨てておしまいではなく新しい価値を見出す点が僕のモットーと重なりました。全部おいしいし、安いし、手軽だし、もっと早く知りたかった(笑)」

それぞれの食べ方を伺うとさすが!アイデアがぽんぽんと出てきます。

「『ふしめん』はゆでてうどんとして食べました。味噌汁の具として入れてもいいし、鍋の締めにざざーっと入れてもおいしい。めんが短くて、喉につまらせる危険がないので子どももお年寄りもとっても食べやすいです」

「ふしめんは形が面白くてアートとしても楽しめる。楽しんだあとはおいしくいただきました」

「『いか飯になれなかったいか』は炊き込みご飯にして、翌日おにぎりにしました。噛めば噛むほど味が出てくるのでご飯が進みます。不揃いないかがかわいくて『何に見える?』って子どもと話しながら楽しく食べました」

「手にした瞬間『イカメシモドキ』って妖怪が思い浮かびました(笑)」と谷村さん
後日、本当に作ってくれました!選ばれなかったいか同士結託したキュートな妖怪

訳ありだってはみ出しものだって、視点を少しずらすだけで、面白いものに化ける可能性がある。幼い頃、空に浮かぶ雲がいろんな形に見えたように、遊び心を持つだけで日常がユーモアあふれるものに変わるかもしれません。

そんなこんなに思いを馳せながら今回のヒャッカを楽しんでみる。それはすっかり大人になってしまった私たちだからできる“遊び”のような気がしました。

撮影協力:KLAMP STUDIO
バンダイナムコグループ/株式会社アートプレスト内にある造形室。フィギュア原型制作を主軸とし、オリジナル商品・デザイン・企画・ディレクションを通じて「楽しい」を創るスタジオ。

今回のヒャッカ

「いか飯になれなかったいか」マルモ食品

いか飯になれなかった規格外のいかをタレでおいしく煮込んだもの。ご飯のお供にぴったり。 ※日本百貨店「しょくひんかん」のみのお取り扱いです。

「ふしめん」有限会社北室白扇

半田そうめんを作るときにできるはしっこを商品化。もっちりとした食感が特徴。 ※日本百貨店「しょくひんかん」のみのお取り扱いです。

「ホルモン揚げせんじ肉」大黒屋食品

豚のホルモンを揚げた珍味。歯ごたえが良く、噛めば噛むほど味わい深い。

文文

忠地 七緒フォトグラファー/ライター

アイドルからライフスタイル誌まで幅広く撮影。飾らない一瞬を切り取り、写真と文を組み合わせた世界観のある表現に定評がある。2021年雑誌『あわい』出版。東京・清澄白河在住。

一つひとつのものが暮らしを形作るとしたら、楽しくちゃんと選びたい。「ヒャッカのある暮らし」では愛情とこだわりを持ってものを選び、心地よく使う人のスタイルを紹介します。日々のお買い物の小さなヒントとしてお楽しみください。

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