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東京手仕事

2023.03.30

東京のスグレモノと作り手たち2022 vol.17|株式会社道明

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東京の伝統工芸品の魅力を広く伝えるため立ち上げられた「東京手仕事プロジェクト」。そこには、受け継いだ匠の技を活かし、スグレモノを生み出し続けるたくさんの作り手たちの姿があります。
「東京のスグレモノと作り手たち2022」では、東京手仕事プロジェクトで認定された作り手さんの工房にスタッフが直接お伺いし、「東京手仕事」の魅力をたっぷりと紹介していきます!

にほんばし總本店の齊藤です。
今回は「株式会社 道明」さんにお話を伺いに行ってきました。
1652年に創業して以来、東京・上野の池之端の地で組紐を作り続けていらっしゃいます。

5階建ての建物で、1階は販売店舗、2階以上はそれぞれの工程、アーカイブ室に分かれています。
一階の店舗にて。手前にずらっと並んでいる約180色の組紐が圧巻。

ご案内いただいたのは山口千博さん。
前職は全く別の仕事をされていたものの、30代後半ごろから組紐の世界に。
実はおじいさま、お父様、ご自身と3代続けて、道明さんで働かれているのだそうです。
従業員の中には世代を超えて、道明さんに携わっていらっしゃる方は珍しくないとのこと。

道明さんでは、組紐の企画から製作、販売、作り手の育成まで全て自社で行っています。
上野本店で働く社員さんは13名、群馬の工場やご自宅で作業する人を合わせると、なんと100人を超えます。

早速、組紐づくりを見学させていただきます。

手染め

まずは組紐を組む前の大切な工程の染色。
一色一色手作業で何度も調整を重ねながら、絹糸を染めていきます。

見ているだけで楽しい色見本

使われる染料は赤、橙、黄、青、緑、紫、茶の7色のみ。
この7色を使って様々な色を作り上げており、作られる色数は年間で数千色という数にまでのぼります。
色を作るのにレシピはなく、色見本を見ながら近づけていきます。
自身の経験と感覚で調整していくのはまさに職人技。

その都度乾かしながら、色の染まりを確認します。

組む

続いて見せていただいたのは、糸を組む工程です。

組紐の組み方は、道明さんのお店に並んでいる帯締めだけでも数十種類になります。色の組み合わせ次第では、無限の可能性が広がっています。
すべての組み方を学ぶには、10年単位の時間を要するそうです。
組紐づくりは完全分業制で、道明さんでは組む人は組み方まで担当が分かれています。

丸台、穴から糸を出して組んでいき、立体的な組み方もできる。
高台、竹のヘラで打ち込みながら組んでいく

糸を組んでいく作業は気が遠くなるような反復作業。質を高めるためには、天候や体調に左右されずに力の入れ具合、角度、リズムを均一に組んでいく必要があります。

千年以上続く組紐の歴史

組紐の歴史は飛鳥・奈良時代までさかのぼります。仏教とともに大陸から日本に渡ってきました。
そのため、当初は宮廷装束などに使われていましたが、平安時代になると貴族たちの太刀の下緒、武具の紐や経巻などの巻物の紐などに用いられ、江戸時代には武士の刀の下緒に、明治以降になると着物の帯締へと時代と共に姿を変えてきました。 道明さんでは6代目新兵衛さんの頃から、本格的に正倉院や中尊寺に現存する紐の歴史的な調査研究も行っています。

復元した正倉院の組紐。意外にも洋装にも合うデザインやカラーリングで驚き。
資料の草木染めされた絹糸。それぞれ染めた時間や天気も記録として残されています。

洋装においての組紐

時代に合わせて、用途が変化してきた組紐ですが、道明さんでは組紐の新たなあり方を模索されています。
2015年には洋装部門としてDOMYOを立ち上げ、伝統ある組紐の技術を用いてネクタイやアクセサリーなど現在の生活に合わせた商品を作っています。
今までの組紐とは一味異なる和装にも洋装にも合う新感覚の色使いやデザインもあります。

組紐の脈々と続いてきた伝統や意匠を研究して守っていく。一方で、時代に寄り添い新たな形を未来にも目を向ける。
370年以上続く、道明さんの愛されている所以を垣間見ることができました。

山口さん、道明のみなさま、本日は貴重なお話ありがとうございました。

日本百貨店にほんばし總本店では道明さんの洋装部門の商品を展開しております。
是非、店頭でお手にとってご覧くださいませ。
皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

東京の「伝統工芸品」は、進取の精神に富む江戸職人の匠の技と心意気によって、磨かれ、洗練され、そして庶民に愛されて連綿と受け継がれてきました。「東京手仕事」は、そんな伝統の技に光を当て、匠の繊細な「手仕事」の魅力 を国内はもとより世界に発信していく取り組みです。