東京の伝統工芸品の魅力を広く伝えるため立ち上げられた「東京手仕事プロジェクト」。そこには、受け継いだ匠の技を活かし、スグレモノを生み出し続けるたくさんの作り手たちの姿があります。
「東京のスグレモノと作り手たち2022」では、東京手仕事プロジェクトで認定された作り手さんの工房にスタッフが直接お伺いし、「東京手仕事」の魅力をたっぷりと紹介していきます!
みなさんこんにちは。にほんばし總本店の齊藤です。
今回は「木内籐材工業株式会社」さんにお邪魔してまいりました。
本日は三代目の木内秀樹さんにお話を伺いしました。
木内籐材さんは元々、尺八に巻くための籐材などを販売。その後、籐のむしろを中心に、椅子や机などの家具、かばんなど様々な籐製品を作っています。
木内さんは小さい時から工房に出入りしていたので、籐は身近な存在。
学生時代にはむしろを編むアルバイトもしていたそう。
お客さんを喜ばせたいという気持ちを軸に色々な商品を開発されています。
籐とは
まず、籐について詳しく教えていただきました。
籐とは、原産地は東南アジアを中心に熱帯雨林地域のジャングルに自生するツル性の植物で、日本ではまずとれないのだそうです。
籐は加工された後も呼吸を続け、高温多湿の場所では湿気を吸収し、寒く乾燥している所では水分を放出してくれるので、様々な国で使われています。
また、木材の中では強度があり、しなやかさがあるので曲線の加工にも向いています。
木内さんはインドネシアに直接買い付けに行っていらっしゃいます。
高い品質のものを仕入れるために、インドネシア語を習得され、現地では通訳を介せず、自分の目で状態を確認し、直接交渉しているのだとか。
鼓椅子
木内籐材が小物を作り始めたのはここ20年。
最初はむしろを作る際に生まれる端材で鼓椅子を作ったのだそう。
こちらは工房で使われている30年物の椅子だそう。
風合いのある飴色になっていてとても素敵ですね。
この椅子の底を編む工程も見せていただきました。
内側と外側では円周が異なるため、計算しながら黙々と編んでいきます。
工房に響く編む時のシューという規則的な音、心地いいです。
あっという間に進んでいきます。
珍しい籐のうちわ
木内さんは敷物や家具以外にも色々な小物を作っていらっしゃいます。
籐製品をもっと手軽に触れてもらえるように何か小物をと考えて作られたのが、こちらのうちわ。
こちらは当店でも老若男女問わず人気があります。
一度扇いでみると皆さん、軽い扇ぎ心地と風量がありながらも優しい風に驚かれます。
よくうちわに使われている竹と比べ、しなやかな籐を使うことでこのような違いが生まれるそうです。
籐で放射線状に骨組みを作ると、そのしなやかさでしなってしまうため、このような渦巻き状になったのだとか。
和紙には無形文化遺産の細川和紙が使われています。
新作の扇子
そして、うちわの販売の際に、お客さんから持ち運べるのを作って欲しいと言われ、今年の新作として作られたのが扇子。
籐の部分以外にも折りたたむため、扇ぐ部分は強度のあるナオロンという素材が使われています。
ナオロンとは、リサイクル素材のポリエステル繊維を伝統的な紙漉きの技法を用いて作られた新素材です。
木内さんの商品を開発する過程にはお客さんに喜ばれたいという木内さんの信念にも通ずるものがありました。
最後に木内さんに今後の目標について尋ねると、
「籐の業界の中で今までにないものを開発して、若い人にも籐に興味を持って欲しい」と熱い答えをいただきました!
今後木内さんがどんな商品を開発されるのか楽しみです。
木内さん、ありがとうございました!
木内籐材さんの製品をご覧になりたい方はぜひ、にほんばし總本店にお越しくださいませ。
東京の「伝統工芸品」は、進取の精神に富む江戸職人の匠の技と心意気によって、磨かれ、洗練され、そして庶民に愛されて連綿と受け継がれてきました。「東京手仕事」は、そんな伝統の技に光を当て、匠の繊細な「手仕事」の魅力 を国内はもとより世界に発信していく取り組みです。