前回に引き続き、日本百貨店PRの岩井さんと幸地さん、ライター長嶺による偏愛おやつ談義をお届けします。後編は、どんなおやつが登場するでしょうか。
地方には、知られざる美味しさがいっぱい!
い)地方には、昔ながらのおやつがたくさんありますよね。みなさんは「冬瓜漬」という沖縄のお菓子をご存知ですか?
な)初めて聞きました。
こ)わたしは父親が沖縄出身なのですが、知らなかったです。
い)300年ほど前に中国から沖縄に伝わったとされる、琉球王朝伝統の銘菓なのですが、今では作っているお店が全国でも一軒だけ、謝花きっぱん店さんのみといわれています。とっても甘いんですけど、本当に絶品なので召し上がってみてください。
こ)これは美味しい! 少しずつ、ちびちびと食べるのに適してますね。すごくジューシーだし!
な)糖をまぶしたドライフルーツだと思って食べたら、衝撃ですね。本当に食べた人しかわからない上品な甘さとみずみずしい食感。このお菓子はどうやって見つけたんですか?
い)沖縄が好きでよく訪れていて知りました。その美味しさにあまりに感激したもので、日本百貨店でも取り扱いたいとバイヤーに頼んでみたのですが、とても手間ひまがかかるお菓子で数が作れないとのことで断念しました。貴重なお菓子なのにお値段は良心的なんです。通信販売はされていますよ。
こ)冷やすのがポイント?
い)そうなんです。凍らせてしっかり冷やして、薄くスライスしてちびちび食べるのが絶品。泡盛のお供にも最高によく合います。箱はアーソートタイプ、袋はラム酒味なんですが……。
な)これは! キングオブ大人味!
こ)本当ですね!
い)なんか大人になってよかったなって思う味ですよね?(笑)。
な)それでは、そろそろ、しょっぱいものを挟みませんか? おやつ=甘いって誰が決めた?と思って(笑)。この「なかよし」はわたしの地元で人気のお土産です。もらった人はもれなく喜ぶテッパンの一品。
こ)えー、これは一個食べると止まらなくなる!
い)どうして「なかよし」っていう名前なんですか?
な)のしイカでチーズをサンドしているんです。「二つの素材が“なかよく”おりなす美味しいハーモニー」ということで「なかよし」。チー鱈のイカver.ですね。
い)なるほどー!
な)これ、安くはないんです。だから、自分用に買うことはなかったんですが、最近改めて食べたら、すごく美味しくて。帰省したとき、ご褒美的に買うようになりました。おやつというか、お酒が飲みたくなっちゃう味だけれど。小腹が空いたときにもおすすめです。
こ)地方発のおやつ、まだまだ面白いものがありそうですね!
な)お取り寄せなどをできちゃうのも、大人の醍醐味のひとつですしね。気軽に旅に出られない今ですし、みなさんの参考になったらうれしいです。
まだまだある、大人の「かっこいい」おやつ
な)先日、秋葉原の「日本百貨店しょくひんかん」へ立ち寄ったのですが、ものすごい数と種類の食品が揃っていて驚きました。食いしん坊としては、お世辞抜きで時間を忘れるお店でした。
い・こ)ありがとうございます!
な)今回、「個人的におすすめのおやつ」を持ち寄っていただきましたが、本当は取り扱っている商品の中にもお気に入りってありますよね?(笑)。イチオシの大人のおやつがあれば、やっぱり教えてほしいです!
い)ふふふ。もちろんです。それでいうと、今、いちばん大人でカッコいいおやつは間違いなくこちら。『SENBEI BROTHERS(センベイブラザーズ)』のせんべいです。
い)「せんべいを、おいしく、かっこよく。」というコンセプトで、東京都江戸川区の笠原製菓さんの兄弟が作っているブランドなのですが、外で食べてもかっこいいパッケージに加えて、味もなかなかエッジが効いていて、その潔さというか、突き抜け具合がとっても大人なんです。豊富な味のバリエーションの中でも「大人のおやつ」として推せるのはこの2種類ですね。
い)「極みワサビ」はしっかり辛く、「トリュフ塩」は香りがすごい。どちらも大人に大人気のフレーバーです。特に「極みワサビ」は大人じゃないと食べられないというか、子どもだったら泣いちゃうくらいの辛さかも!
な)おおお。本当に鼻から抜けるような辛さ。でも、辛さが抜けると、もう一枚ほしくなる。これはクセになりますねー! 「トリュフ塩」は香り高さはもちろん、しっかりしょっぱくって、おつまみにもよさそうです。
い)小さめのサイズ感もいいですよね。あまりの人気で製造が追いつかないので、販売しているところが少ないんですよ。おせんべいの概念を変えてくれる商品だと思っています。「ツクルヒトビト」では、インタビューも紹介しているので、興味がある方はぜひ、読んでみてください。
こ)もうひとつ、心から自慢できるPB商品があります。それは、岩手県の山奥に住むパティシエ・高橋さんにお願いして作ってもらっている『たかはしさんのフィナンシェ』です。バターたっぷりで、とにかくしっとり。誰に食べさせても必ず「美味しい」と言ってもらえる、どこに出しても恥ずかしくないところがものすごく大人です。
な)口に入れたときに「ジュワッ」と音がするような、本当にしっとりリッチな生地ですね。
こ)地元の生ハチミツをはじめ、こだわりの素材だけでシンプルに作られているんですよ。わたしもいろいろなフィナンシェを食べ比べましたが、抜群に美味しいと思っています。
な)ひとつひとつ、手作りで焼かれているんですもんね。高橋さん、お会いしてみたいな。聞けば聞くほど、たくさんの情報が出てきますね。きっと、まだまだあると思うのですが、今回はこの辺りでお開きにしましょうか。
い)おやつ談義、楽しかったですね。また、別のテーマで座談会ができたら、うれしいです。
こ)美味しくて楽しい時間でした。ありがとうございました。
大人のおやつ。それは、子どものそれとは、ひと味もふた味もちがう楽しみがあります。みなさんの知っているおやつはありましたか? とっておきの大人のおやつがある方は、ぜひ、こっそり教えてほしいけれど、あなただけの、とっておきにしておくのもまた、大人なのかもしれないなと思ったりしています。
長嶺的大人のおやつ三か条
その1:大人だから、お酒入りもウェルカム。
その2:大人だから、金に糸目はつけない。
その3:大人だから、ちょっとお取り寄せ。
商品紹介
まだまだある、日本百貨店で取り扱っている大人のおやつ。ぜひ、チェックしてくださいね。
長嶺李砂編集者
1984年、青森県十和田市生まれの昭和っ子。子ども時代からの夢だったパティシエになるも紆余曲折、現在は書籍や雑誌、WEBサイトなど、「食」を中心に幅広いジャンルで活動する編集者。とにかく、おいしいものには目がない。昔ながらの店、味、手仕事が好き。
「NEO(ネオ)」という言葉には、“新しい”や“復活”という意味があります。めぐる時代で生まれる流行、地域に伝わる習わし、伝統品のリバイバル、新しい若者文化も「日本らしさ」のひとつ。本コラムでは、長い歴史や伝統へのリスペクトを忘れることなく、「文化って楽しくていいよね」、「こんなものも文化って呼んだっていいんだ」という驚きと発見、おもしろさを発信していきます。